エンターテイメント - 小説
TRUST 第5話「魔狼」

作者:ルーキフェル・A・ラズウェル



「私の名は、いや!我が名は、魔法皇帝ガレオン。」
皇帝?と皆は思った。
「皇帝?お前が皇帝なのか?じゃあゼウスは何なんだ?」
リッドがガレオンに聞いた。ガレオンはふっと鼻で笑い、口を開いた。
「・・・今まで戦った三人。・・攻撃力、守備力、速さ、それぞれがゼウスを超える者達であったのだ。私はゼウスに直接『魔法皇帝』を名乗ることを許された。私はゼウスをも凌ぐ魔力の持ち主なのだ。」
ポウっとガレオンの身体の周りに青白い光が放たれる。その右手には、赤い光が集まっていく。
「ウソ・・・には聞こえないわよ?」
ファラがリッドの顔を見た。
「スゴイこわいよ・・クィッキーふるえてる・・。」
動物としての本能だろうか、クィッキーはぶるぶる震えている。
「どうした、人間達よ?来ないのか?」
うっすらと凍りつくような笑みをこぼした。部屋中に冷たい空気が流れる。
「リッド!戦うぞ!逃げるのか?」
ゼクンドゥスがリッドに言った。
「逃げるかよ!行く道は行くしかない!!」
リッドの目つきが変わった。まるで狩りの時に獲物を狙うような目だった。
「そのとーり!!」
ファラは手袋をしっかりはめた。
「行くぞ!」
リッドは叫び、走っていった。剣を引き抜き、先端をガレオンに向けた。
「風雷神剣!!」
ところが、ガレオンはバックステップで意図も簡単によけてしまった。そして、右手に赤く光る玉を投げた。
「炎よ、敵を食らえ!!」
 ドバン!!
大音量の音と共に爆発が起きた。モクモクと煙が起こる。
「バイバ!リッド!大丈夫か!?」
思わずメルディが叫んだ。
「ったりめぇだ!ゴホッゴホッ」
煙の中からリッドが現れる。どうやら無事らしい。
「我が司る時の力よ。我が声に耳を傾けろ。時よ、裂けよ。出でよ、時空の歪み。」
ゼクンドゥスは魔力を集め、ガレオンに向かって放った。
「ディストーション!」
空間が裂けて、『時』の歪みがガレオンを包む。
「グッグウゥ」
ガレオンは、唸り声を上げながら呪文に集中した。
「ウオオオオォォォォ!!」
リッドの極光壁の時と同じようなポーズをとり、声を上げた。すると、なんとパキーンとディストーション自体が破壊されてしまったのだ。
「そんなバカな!?」
ゼクンドゥスが叫んだ。
「クックック、こんなものなのか、お前達の力とは?」
うっすらとガレオンが笑っている。
「何ィ?ふざけやがって。これからだ!」
リッドは左から右へ桐切りをした。しかし、ガレオンは腰に差している剣を抜き、リッドの剣を止めてしまった。キィィンと金属音が部屋全体に響いた。ガレオンは剣を振りほどき、リッドの頭めがけて切りつけた。リッドはとっさにバックステップを踏み、身構えて魔神剣を放った。ガレオンは剣を床に突き立て、魔神剣の衝撃波を止めた。そのままガレオンは剣を床から抜き、剣を両手で握り、大きく振り上げてから思い切り振り下ろした。
「空破斬!」
ガレオンが叫ぶ。すると、魔神剣と同じような衝撃波が飛んでいった。リッドはすかさず剣を振った。
「魔神剣!」
リッドの飛ばした魔神剣が空破斬とぶつかる。が、空破斬の方が力が大きく、飲み込まれてしまった。そのままリッドは空破斬をくらい、壁に叩きつけられた。
「ぐああぁぁー!」
壁はへこみ、ヒビが入った。
「こっのぉー!」
ファラが動く。ガレオンは、ファラが武器を持たない素手の格闘家だということが分かると、剣を収め、握り拳を作り、構えた。
「連牙弾!」
ファラは右手でガレオンの顔を狙う。が、ガレオンは左手を広げ、ファラの右手を払った。そして、そのまま右手を広げて掌低を、ファラの顎に向ける。すると、ファラは左手でガレオンの掌低にパンチを入れた。お互い、一歩も引かない戦いが続いた。
「参ったな。女性はどこを殴ればよいのだろう?基本的に女性に手は挙げないのだが・・・フム、困ったな。」
「真面目に戦いなさいっ!」
とどなると、ファラの左側の床で靴がキュッとこすれる音がした。
「バイバ!後ろ!ファラが後ろにいるよ!」
メルディがファラの後ろの方を指差した。
「なっ、ウソ!?」
振り向こうとした時、ガレオンの攻撃が決まった。腰に双憧衝低破の手の形できれいに決まった。
「んっく!がはっ!」
受け身が取れていないので大きなダメージを負ったが、ファラは左足でふんばり技につなげた。
「獅子戦吼!」
素早くガレオンがガードをする。
「今だ!獅吼爆砕陣!!」
ガレオンのガードの上から技をかけた。
「はああぁぁ!!」
闘気が獅子の形になり、ガレオンを襲う。が、しかし、
「ええ!?」
ファラの目の前には誰もいなかった。
「上だ。」
ファラは頭上を見ると、そこには腕を組み、見下ろす格好をしているガレオンが飛んでいた。ガレオンは、スーっと降りてきて、スタッと足をつけた。
「メルディ!ヒールをかけてくれ!」
リッドは言った。
「はいな!」

聖なる光、傷つきえる者
 諦めないその心、神より受けし愛
  傷つく者をその光と愛で癒さん

「ヒール!」
リッドの身体が光り、傷が治っていく。
「ククク、回復したところで変わらんのに。」
「変わるさ。」
リッドはガレオンに向かって言った。
「みんな、一ヶ所に集まれ!」
リッド達が上ってきた階段を背に四人と一匹が集まる。
「全員で一気にカタをつけよう!」
リッドが先頭に立って指示を出す。
「わかった。」
「成せば成るよね。」
「はいな、メルディにまかせるよ。」
全員が身構える。そして、動いた。
「ゼクンドゥス・コレダー!」
ガレオンめがけて、魔力のクレーターを作る。が、すぐに後ろ下がりよけられた。リッドの身体が炎に包まれる。
「鳳凰天駆!」
ガレオンに向かって急降下する。すると、収めた剣をガレオンは再び抜き、地面を叩いた。叩いた地面から砂煙が立つ。
「見えねぇ!ガレオンの姿が!!」
「任せて!」
ファラが技を使う。
「獅子戦吼!」
ファラの闘気により、砂煙が吹き飛ぶ。晴れてゆく煙の中に人影が見えてきた。
「見えた!くらえー!」
リッドはガレオンに突っ込んだ。
「風よ!唸れ!」
「なっ、何ィ!?砂煙は時間稼ぎか!?」
サイクロン級の風呪文をリッドはもろにくらってしまった。
「ぐっああぁっ!バ、バカな、速すぎる!これは呪文なのか!?」
空中に上がるリッドに、ガレオンは剣を持っていない左手を向ける。
「解ったか?これがゼウスをも凌ぐ魔力だ。もう一回くらってみるか?燃え上がれ!炎よ!」
すると、リッドの前に真っ赤に燃える火の玉が現れた。現れた火の玉がリッドにぶつかる。刹那
「危ない!リッド!」
高く飛び上がり、リッドを押して、代わりに火の玉に包まれた。
「なっ、ファラ!?」
何とファラがリッドの代わりにダメージを受けてしまった。
「キャアァァァァ!」
「クックックッ」
ガレオンが冷たい笑みをこぼす。リッドは上手く着地し、ファラを見上げた。ファラを包む火が消えて、無防備にファラは落下する。
「危ない!」
リッドは、ファラをキャッチして抱きかかえた。
「二人とも・・死ね!」
ガレオンは獅子戦吼のように右回りに回転し、ゼクンドゥスコレダーのような大きな球体に、鳳凰のごとく火を伴った技を繰り出す。
「貴様等の技の集合体だ!」
「危ないぞ!」
ゼクンドゥスがリッド達の方に走りながら呪文を唱える。
「天に満つる光よ、我に力を。守るべきものを守る為の力を分け与えたまえ。」
ガレオンが技を放った。
「鳳凰炎乱舞!!」
「マジックウォール!!」
瞬時に魔法障壁が現れる。・・・が、
「ムダだ!ディスペルマジック!」
一瞬で障壁を消されてしまった。
「間に合わない!クソォ!」
「死ねえぇぇ!」
「まだまだあぁぁ!極光壁!!」
部屋中に極光の光が満ち、ガレオンの技を防ぐ。しかし、リッドの体力は尽き、ファラもまた力尽きて、その場に倒れた。
「ククク、まぁ少しは楽しめたぞ。一応、我が主、ゼウスの命に従い死んでもらう・・・トドメだ!」
「ダメー!メルディ、怒ったよー!」
リッド達の前に仁王立ちする。
「メルディ達、負けない!ガレオン倒す!!」
「・・小娘が何を言うかと思えば。」
「メルディ、コムスメちがう!セレスティアン、10才で大人!」
・・・話がずれてる。
「くだらん。」
ガレオンは呪文を唱える。
「メルディ、負けないよ!」
メルディも呪文を唱える。しかし、ガレオンの呪文の方が一歩速い。
「おお!全世界に住む精霊たちよ、我が声に耳を傾けたまえ!」
メルディは、記憶に残るハイエイシエントを唱え始めた。
「ムーサザド、バラン、クォール、エイド!我が内なる神の導きのみに従う!」
遠くに離れていたゼクンドゥスがリッド達に駆け寄り、保護した。
「私には邪魔はできん。メルディにかけるしか無いな。
ゼクンドゥスがポツリと独り言を言った。その間にもガレオンの呪文の詠唱は進んでいく。
「さぁ開け、七大天子の七つのラッパは吹かれたり。災いの七つのラッパ。汝ら精霊の力を解放する時なり!」
メルディも叫ぶ。
「大いなる波よ!全てを飲み尽くせ!」
ガレオンの呪文の詠唱が先に終わる。
「世界破壊(アレス・ノヴァ)!」
遅れながら、メルディの呪文の詠唱も終わった。
「魔法逆流攻!」
ガレオンは、七色に光る虹色の光線をメルディ、リッド、ファラの三人がいる方向に放射した。一手遅れるメルディの方は、女神が召喚され、女神は両手を出し魔力の渦を作る。その渦は、光り輝いていた。ガレオンの放つ光線が渦に直撃する。渦は、光線を吸収してしまった。
「何?私の魔法が?」
渦の光が強くなる。渦の中から虹色の光が出てくる。
「まっまさか!これは、私の!?」
「はいな!メルディが魔法はね返す呪文。ガレオン、罠にかかった!」
メルディは自身たっぷりに言った。ガレオンはふっと笑い、
「私に罠を張るとはな。だが図に乗るな!これから先は地獄を見るぞ!」
そう言うと、ガレオンは自ら虹色の呪文の直撃を受けた。
「ウオオオォォォォォーー!」
まるで、狼が吠えるような泣き声だった。メルディはその場に膝をつき、尻を床につけて座り込んだ。
「勝てたのか?」
少しお得意のセリフだ。
「やったね、メルディ。」
ファラがよたよたと歩いてきた。
「バイバ!ファラ動いて大丈夫か?」
「まぁ、なんとかね。」
にっこりと笑った。
「よっ!お疲れさん!頑張ったな。」
リッドがポンと頭を叩く。
「リッドー!リッドも大丈夫か?」
「おうよ!イケるイケる!」
ドスッっとリッドの腹にファラのパンチが入る。
「私のセリフ・・・」
とぼそっとささやいた。
「すまなかったな、お前達。私が力になれなくて。」
ゼクンドゥスが歩いて来た。
「いいのいいの!みんながいなかったら倒せなかったよ。」
ファラがゼクンドゥスに言う。
「本当にすまない。」
軽く頭を下げた。
「なー、みんな?メルディ、疲れたよー。少し休もうよー。」
メルディが立ち皆に言うと、リッドが賛成する。
「だな。流石にヤバかったな。オレも休みたい。」
リッドはファラの顔を見ると、ファラはゼクンドゥスの顔を見た。
ゼクンドゥスは皆の顔を見て、
「疲れたな。少し休もう。」
クィッキーがゼクンドゥスの肩に乗り、「クィッキー!」と鳴いた。

To Be Continued...




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