エンターテイメント - 小説
TRUST 第5話「己の証」

作者:ルーキフェル・A・ラズウェル



「よっし」
リッドの声が大きく部屋に響く。リッド達は、休憩を取り、体力の回復とケガの治療をした。次こそ、本当の戦いになるだろう。一つの油断が待っているのは、間違いなく『死』だ。気を引き締める、今は物音一つで身構える、そんな状態にある。そんなピリピリした空気の中、リッドは立ち上がり、
「行くか?ほら、みんな!スマイル、スマイル!」
ニッと笑い、皆の顔を見る。ファラはプッと笑い、立った。
「なによソレ。誰かのマネ?」
リッドに向かって笑う。メルディとゼクンドゥスも立った。メルディの肩にクィッキーが乗る。
「さてとぉー。いっくぞー!」
リッドが最上階への階段に近づく。
 スッ
「?」
リッドは変な顔をした。
「どうしたの、リッド?」
ファラはリッドの顔を覗く。
 スタッ
「ダレだ!」
大声で叫び、リッドは振り返りながら剣を抜いた。すると、部屋の隅の柱から人影が浮かんできた。
「流石ですね。いくら手を抜いたとはいえ、気が付くとは。」
影の中から出てきたのは、何と女の子だった。
「バイバ!足音しなかったよー。すごいな。名前、なんていうか?」
「メルディ!むやみに近づくな!」
ゼクンドゥスが言った。
「ご安心を。敵ではありません。私の名前はすず。藤林すずと申します。」
と、ペコッと頭を下げた。
「で、すずさんは一体何者なの?足音を消して私たちに近づくなんて簡単にはできないはずよ。」
ファラが問う。
「私は忍者です。貴方に渡すものがあります、リッドさん。」
すずは、リッドを見た。
「はっ?オレ?」
「剣を納めてもらえますか?それでは話ができません。」
「えっ、あっ?ごっごめん。」
リッドは剣を納めた。それを見たすずは一言、
「刃こぼれがひどい。やはり、言われた通り来て良かった。」
「?」
リッドは、自分の剣を見た。すずの言う通り、剣の刃こぼれはひどかった。
「敵が敵だからね。刃こぼれしない方が変だよ。」
リッドの剣を見ながらファラが言った。リッドはすずに聞いた。
「言われた、って言ったよな?誰にだ?」
右のほうの盾を下げる。
「クレス・アルベイン。赤いバンダナをしていた人です。その方から頼まれて来ました。これを渡すように、といわれて。」
布でグルグル剣をリッドは受け取った。
「この剣は?」
そう言いながらリッドが布を取ると、白く輝く剣が出てきた。すずは、リッドの目を見ながら言った。
「エターナルソード、時の剣と言われる伝説の剣です。」
「この剣をオレに?」
すずは、コクッとうなずいた。
「ワイール!リッドが新しい剣、かっこいいなー。あれ?すず、これ何か?」
メルディは、すずの懐の光るものを指差して言った。
「これは貴女にです。S・Dを貸してもらえますか?」
メルディは、言う通りにS・Dを渡した。すずは、光るものをS・Dに取り込む。
「これで・・・良し。あと、ファラさん、でしたよね?」
ファラのほうをすずは見た。
「えっ?私?」
「貴女は確か、体術が得意ですよね?」
そう言うと、すずは巻き物を取り出した。
「ファラさんには、この巻き物を渡します。これには、代々私の家に伝わる技が記されています。」
「ど、どうも、ありがとうございます。でも、すずさんは一体どうしてこんなに親切に?」
巻物を受け取りながらファラは質問した。
「・・・それは、貴方達の世界を救って欲しいからです。」
「アリガトな。」
「いえ、お礼などはいりません。・・・リッドさん。」
「ん?なんだ?」
すずは、さらにもう一本の巻き物を取り出した。
「次元斬とアルベイン流最終奥義です。必ず役に立つでしょう。」
「!!いいのか!?」
驚き、ためらうリッドにすずは答えた。
「貴方になら、とクレスさんが書き記したものです。では、足止めさせてしまいましたね。すみません。私は帰ります。」
すずは、くるっと後ろへ向くとそのまま歩き出した。
「本当にありがとう!」
ファラが礼を言う。するとすずは、ぴたっと足を止めて言った。
「人一人の存在とは大きなものです。もしたった一人でも知っている人に出会ってなかったら、違う別の人間になっていたかもしれない。私は、もしクレスさんに出会わなかったら、笑うことすら忘れ、非情な人生を進んでいたかもしれません。ファラさん、メルディさん、リッドさん。今いる、友となる仲間に出会ってなかったら、今、あなた達はこの場にいないかもしれません。・・・仲間を、友人を大切にして下さい。笑うことを忘れていた私も・・・ほら!」
すずは振り返り、にこっと笑った。さっき会った時とは全く違い、愛らしかった。
「このように笑うことが出来るようになりました。だから、自分達の未来を手に入れて下さい。」
そう言っていると、今まで上がってきた階段から人が登ってきた。
「すず、みんなが待ってるぜ。」
つり目の少年が上がってきた。
「はい、チェスターさん。では、皆さん、さようなら。」
すずの体の周りに枯葉が飛び回った。そして、枯葉が落ちた時、すずとチェスターの姿はなかった。
「すず、本当にありがとうよ。」
リッドが真顔で言った。皆がリッドの顔を見ている。
「い、いやっ、マジで可愛かったかな、あの笑顔!!ははっははははは。」
直後、ファラのボディーブローを食らった。
「ぶほっ」
リッドは腹を抱えてのたうち回った。
「さっ、早く技を覚えよっと。」

「はいな、みんな、いいか?」
メルディが元気のいい声を上げる。巻き物を読み終わり、技を覚えたリッドとファラが返答する。
「オレはいいぜ。」
「私も。」
壁に寄りかかっていたゼクンドゥスも返事をする。
「ム。私も良いぞ。」
全員は部屋の中央に立ち、最上階の最後の敵、ゼウスのいる部屋に上がるための階段をじっと見つめた。
シーンとした空気の中で、まず声を上げたのは、
「クィッキー!!」
クィッキーだった。
「ハハッ、行こうってか?クィッキーに言われるようじゃぁ、ダメだな。」
「はいな。行く道は行くしかないよ。」
「よっし、がんばろう!イケるイケる!」
そして、リッド達は階段を上がる。上がった部屋は、何と『部屋』ではなく、『空間』だった。それも、果てしなく永遠というほどの広さだ。暗く、何も見えなかった。
「なんだ?何も見えないぜ?」
リッドは空間に入り、あたりを見渡す。
「本当に何も見えないよ。」
後ろから、ポウッっと光が見える。
「ワイール!エラーラ便利!クレーメルケイジも光ってるよ!」
メルディは、クレーメルケイジを出すと、レムとシャドウが出てきた。
「いよいよか?私たちもともに戦おうぞ。よいな、シャドウ。」
レムの登場により、あたりは光に照らされ明るくなる。
「望む所。」
シャドウがうなずくと、空間が一気に明るくなった。
「ククク。」
異常なまでの寒気がした。
歩く音がする。
 ガシャン
 ガチャン
鎧の動く音がする。
「なぜ、お主らはそこまでする?」
その言葉と共に身体中から寒気を感じた。たった一言で身体を震えさせるその威圧感。まだ言葉は続く。
「弱き者は死ぬ。強き者は生きる。それでいいのではないか?」
「良くねぇよ。」
ゼウスの言葉に反発するリッド。
「なぜだ?お主達も気付いているだろう?私とお主らの格の違いを。」
「くだらねぇな。戦ってみなくちゃ分からねぇだろ?」
「フッ、無駄なあがきを・・・。」
ゼウスは、ガシャガシャと足音を立てて歩いてきた。
部屋の暗い所から足が見えてくる。さっきよりもいっそう部屋が明るくなり、姿が見えてくる。その姿は、濃い、紫色をしたよろい姿だ。顔にも鉄仮面をかぶり、全身も鎧で覆い尽くされている。
 ガシャン
 ガチャン
歩く音が大きくなっていく。
「ああ!あがいてやる!オレは、自分の力だけじゃなく、仲間を信頼し、仲間の力を信じているからな!てめぇなんかに負けねえ!」
リッドは剣を抜き、構える。ファラも同時に、グローブをはめ直した。
ゼウスが右手を出す。すると、どこからともなく剣が現れた。その剣は、ゼウスの身長と同じくらいで、2メートルはあるだろう。かなり大きな大剣だ。幅は、リッドの剣の二倍はあろうか。まさに大剣と言うにふさわしい剣である。飾りはなく、鞘は黒い。全部で何十キロはあるだろう。
「バイバ!大きい剣!当たったらあぶないよ!みんな、気をつけてな!」
メルディが注意する。ゼウスは、剣を鞘から出す。そして、刃をギラリと光らせ、軽く素振りをした。ブオンと大きな風斬りの音が鳴る。異常なほど軽々と振るうその姿だけで、リッド達を威圧するには十分であった。ゼウスは、両手で剣を構えた。
「さあ!あがけ!ひれふせ!そして死ぬがいい!ヒァーッハッハッハ!」
「死んでたまるかぁ!お前を倒し、俺たちが生きている証を見せてやる!!」

To Be Continued...

※備考※
突然ですが、人間がテイルズの技を使えると思いますか?ファラの初期の技、連牙弾、掌底破、三散華などは物理上可能です。その他に、剣技の虎牙破斬など、可能な技はいろいろ有りますが、極光壁を生身の人間が使えるとしたらどうですか?または、極光壁に似たものを作り出せるとしたらどうです?
まず、-273℃(絶対零度、0K)に近い低温を作ります。その絶対零度の範囲に、強力な電磁波(磁場)を流します。すると、もしその中に核ミサイルを撃ったとしても、核融合(核分裂)の運動が停止(スロー)になり、電磁波によって強制的に破壊(分解)されてしまうのです。
まぁ、出来ればの話ですが。もし出来たとしても、その場にいた人や生き物は絶命。今の人間では不可能です。口や言葉では楽ですがね。ですが、とにかく、ありとあらゆるものを破壊し、どんな兵器も封じ込める(破壊する)ことができます。
一応、理論上可能な話です。机上の空論ってとこでしょうか。もしよければ、心にとめておいて下さい。




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