エンターテイメント - 小説
TRUST 最終話「WE CAN SURVIVE」

作者:ルーキフェル・A・ラズウェル



不意に聞き覚えのある声が聞こえた。
「フリーズランサー!」
「ぐおっ!何ィ!?」
ゼウスの手がリッドの首から離れた。
「爆裂!」
すぐに、聞いたことのある呪文と爆発音も聞こえた。
片方の声が呪文を唱える。

開け天の聖棺
  我らが主セイファートの御名において
汝ら魂を呼び寄せ賜え

呪文が終わると、みんなの声が聞こえてきた。
「リッドが起きてないよ!メルディ、お願い!」
「はいな!まかせるよー。」

汝が望み 皆が汝を望み
  汝の魂が正しき者ならば
魂は汝を清めるであろう
  さあ戻れ 肉体の力 命の力

「キュア!」
それと同時に体に力がみなぎった。
「リッド!」
リッドは名を呼ばれ、そっと目を開けた。
「なっ、みんな?!キールも!?」
皆、生き返った。なぜか?と思うかもしれないが、今はそれどころではないはずだ。
「貴様らあぁぁぁ!!」
ゼウスが叫んだ。リッドは剣を取り、ゼウスに向かう。ゼウスの頭に血が上っている今し
か倒せないとリッドは思った。
「次元斬!」
「!!」
ゼウスは後ろにジャンプしてよけた。しかし、
「さっきのお返し!獅子戦吼!!」
リッドとファラの挟み撃ちに遭い、本当に決定打が入った。
「ぬぅ・・」
吹っ飛ばされて着地したところに、五つの光が立っていた。そして、モーシェが唱えた。
「五芒封陣!動きを少し止めた!早く倒せ!!」
「ゴミどもが!」
ゼウスが叫んだその時、ファラは空中にいた。
「アンタの技を盗んだよ!忍法千日法鏡、鳳凰炎乱舞!!」
ファラは、ゼウスの使った技をそっくりそのまま使った。
「アルベイン流最終秘奥義!エターナルブレイド!!」
クレスの奥義をリッドが使う。さらに、キールが詠唱を始めた。

火の召喚 五芒
 水の召喚 五芒
  風の召喚 五芒
   地の召喚 五芒
全ての力 元素
 そして光と闇 全てを生みし光
今一度我が召喚に答え賜え

「ビッグバン!!」
今、全員が出せる全ての力を出している。全ての力が合わさり、そして、巨大な爆発を起
こした。
「メルディが使える一番強い技!デスティニー!!」
メルディの魔力により風が吹く。爆発の煙の中に、ゼウスが血まみれになってで立ってい
た。そして、召喚された者達が次々に技を放つ。
「くらえ!獅吼爆砕陣!!」
地面から炎が上がる。そこへ、
「さぁーってとー!スナイプエアー!!」
空中から曲剣の突き攻撃をくらい、ゼウスは地面に落とされた。
「我が風の力を見よ!断空剣!!」
再びゼウスの体が中に舞い、地面に落ちる。
「いきますよ!フィリアボム!!」
フィリアと名乗る女の子から無数の玉が投げられ、ゼウスに当たるたびに爆発した。ゼウ
スは全て無防備のままくらっている。
「お前、目障りだ!魔人闇!!」
ゼウスの腹部にリオンの愛剣、シャルティエが刺さる。そして、最後に金髪の女の子が現
れた。
「バイバ!はじめて見る人だよー!」
「お兄ちゃん、ディムロスを!」
スタンをお兄ちゃんと呼んだ事から考えて、この娘はどうやらリリスのようだ。スタンは
ディムロスと呼ばれた剣をリリスに投げ渡した。
「いっくよー!サンダーソード!!」
素早い剣さばきで(いつもはおたまだが)ゼウスが斬られて空中に放り出されたかと思うと、
今度はリリスから謎のビームが出て、ゼウスに多段ヒットした。リリスの攻撃が終わると、
召喚された者達が光り、S・D の中へ消えていく。
「ゼェ・・ヒュー・・・ゼェヒュー」
ゼウスは血まみれで、息も絶え絶えになっていた。
「貴様ら・・ゼェヒューに勝てるワケが・・ガフッ!」
ゼウスは吐血した。
「しぶといぜ!」
リッドが剣を握りしめる。
「があぁ!」
ゼウスは、リッドに向かって右手から光の矢を放った。
「何ィ!?」
リッドの右胸に向かって矢が飛んでくる。リッドはよけることが出来ずに、光の矢は右胸
を貫通した。服に血が滲む。
「ぐぅあ!」
すかさずファラが近寄った。
「く、くるな!ファラっ!」
無理に叫ぶリッドの口から血が垂れた。
「でもっ!キズが!」
ファラが更に近寄る。
「ゼウス!一対一のサシで・・やるぞ!」
リッドは剣を構えた。しかし、キールは険しい顔でリッドを見た。当たり前だ。有利な戦
いなのに、なぜそんな事をするのか理解できない、と言うような顔でキールはリッドの顔
を見ていた。
「キール・・・やらせてくれ。頼む。」
顔を動かさず、目だけ動かして、左の方にいるキールを見た。二、三秒、沈黙が続いた。
「ふっ。ただし、お前が負けるなよ!」
キールはリッドの顔を見て、全員の顔を見てうなずいた。ファラとメルディが心配そうに
リッドの顔を見て、後ろに下がった。
「貴様!私を愚弄する気か!このまま戦えば貴様らが勝っていただろう!なぜそんな事を
する?」
ゼウスは、左手が痛いのだろうか、右手で左手を押さえている。
「ゼウス、今さっきまで一対一で戦っていたよな?あのまま戦っていれば必ず俺は死んで
いた。お互い、次の一撃で決まる!ならば!次の一撃にお互い全てを出そう!」
リッドの右胸からは滲み出た血が垂れている。
「バカげた事を・・まあ良い。受けて立とう。」
ゼウスは、全ての魔力を右手に集中させた。
「ハアアァァー!」
リッドは剣を握り締め、ゼウスの魔力を見つめる。おそらく、技を見切って今度は自分が
技を入れるカウンター狙いだろう。胸のキズの痛みに耐えながら、リッドは目を見開いた。

「来い!ゼウス!」
リッドは走り出した。ゼウスも同じ方向に走る。走っている時も、リッドの胸のキズから
絶えず血が滴り落ちている。リッドは思わず右目を閉じた。
「そこだー!」
ゼウスの全力の魔力が放たれる。直径3メートルはあろう光の弾を放った。
「まだまだぁ!」
リッドは剣を投げた。
「フン、自分の剣を投げるとは。どんな攻撃をするつもりだ!」
リッドは上空にジャンプする。リッドの投げた剣が光の弾に当たり、大爆発を起こした。
リッドは爆発の中に突っ込んでいく。
「自殺か!?」
「くらえぇー!」
リッドはしっかり自分の剣を持って、今度はゼウスに突っ込んできた。
「何ィ!?まさか!?」
ゼウスは爆発している中心部を見た。キランと輝くゼウスの剣があった。
「まさか!?貴様、私の剣の所に走っていったのか!?」
リッドの方を見ると、リッドの体が炎に包まれている。
「鳳凰天駆!!」
ゼウスの体勢は、魔力放出後であり、最も隙が出来ている状態であった。
「ヤバイ!」
ゼウスは左足を引き、間一髪よけた。リッドはゼウスに背を向けている。ゼウスは手刀を
作り、リッドの背に向かって走った。が!リッドは振り返り、剣を構えた。
「あれは!!」
ファラが叫ぶ。キールの口元に笑みが出た。
「緋凰絶炎衝!!!」
一瞬の内にゼウスは胴切りされ、爆炎の衝撃に巻き込まれた。
「さっきの技は布石と言うことか。フッ。」
ゼウスは意識が遠くなり、死の目前でこうつぶやいた。そして、ゼウスは永遠の眠りにつ
いた。


エピローグ

広い広い平地を4人と1匹が歩いていた。
そう、ここはセレスティア。
赤い髪の青年が空へ両手を上げてあくびをしている。
河原には船もあるし、飛行艇もついているが、何となく、皆は歩いていた。
心の中をまとめているようで、誰も、ここは何処だ?とは思わない。
地図はあるが、地図を見る気にもならなかった。

そのまま歩いて、彼らが海岸に着いた時には、もうすっかり夜になっていた。
赤髪の青年は月を見て一言、言った。
「月がキレイだな。」
それを聞き、皆が空を、月を見た。ショートヘアの娘も言った。
「ええ、キレイね。」
ザザーンと海が引く音がする。
聞き覚えのあるエンジン音がした。
目を凝らして良く見ると、彼らの船であった。
甲板には彼らの仲間がいた。
船は彼らの前で止まり、乗っていた二人が出てきた。
出てきた少女が心配して声を掛ける。
「どこへ行ってきたんですか?探しましたよ?」
赤髪の青年が答えた。
「ちょっと、遠くへ、な・・・」
それ以上は語らなかった。少女は痺れを切らしたようだ。
「もう夜ですから、近くの町に泊まりましょう。」
彼らは船に乗った。
「一つ聞きたい。」
赤髪の青年が青髪の青年に聞いた。
「なんだ?」
「なぜ皆生きてるんだ?あの時皆死んだハズだ。」
「アンブローシアだ。不死の食べ物として神々が食すものなんだ。神話にも書かれてい
る。」
「そうか。良かった。」
赤髪の青年はそう言い、黙ってしまった。
そのまま、街に着くまで一言も話さなかった。

彼らが泊まる宿に着き、入ると、カウンターにいた男が話し掛けてきた。
「いらっしゃいませ。すみませんが、現在2部屋しか空いていないのですが、よろしいで
すか?」
大柄な仲間は自分の家が近いのでいないし、少女は船の調整の為に残っていたので、4人
と1匹であった。
髪をまとめた青年が答えた。
「ああ、2部屋でお願いする。」
カウンターの男性がうなずく。
「かしこまりました。どうぞ、部屋の鍵です。」
赤髪の青年が鍵を受け取り、ショートヘアの娘に渡した。
しかし、娘は鍵を受け取らず、髪をまとめた青年に渡した。
「お、おい?」
ショートヘアの娘が口を開く。
「おねがい。なぜか分からないけど、一緒に寝たいの。」
髪をまとめた青年の背中にコツンと頭が当たる。
セレスティアンの娘も
「一緒に寝るよ。な?」
と言った。
「あ、ああ。」
髪をまとめた青年はためらいながらもうなずいた。
彼らは二組に分かれて部屋に入った。
夜がふけていったが、赤髪の少年はなかなか寝付けず、外に出た。
「仲間か。大切にしなきゃいけない物だよな。」
と、独り言を言い、空を見上げて月を見た。
「帰るかな、インフェリア。」
と言い、部屋へ戻った。
そして、次の日、インフェリアに向かう船を発進させた。

時間がたち、インフェリアに着いた。
船から下りると、草の匂いがした。
なぜかひどく懐かしく思った。
刹那、モンスターが襲ってきた。
赤髪の青年は剣を抜こうとした時だ。
「魔神剣!」
「なっ、あれは!?」
倒れるモンスターの後ろに立っていたのは、すらりとした黒髪の女性であった。
その他に、帽子をかぶり、妙な詩を歌っている娘に、セレスティア人の女の子がいた。
ショートヘアの娘が元気な声で叫ぶ。
「久しぶり!元気にしてた?」
黒髪の女性が口元でニヤッと笑い、答える。
「ああ、イケるイケる!」
「あー!それ、私の口まね?」
彼らにはたくさんの友や仲間がいる。
ゼウスとの戦いは、仲間の大切さを教えてくれた。
ような気がした。


あとがき

長い間ありがとうございました。このつたない小説を読んでくれた人にお礼を言いたいで
す。本当にありがとう。文句のある人も読んでくれただけで嬉しいです。もしこの小説で
何かがあったら是非私にメールを送ってください。
とっても短いあとがきになってしまいましたが、これからも少しずつ小説は書いていこう
と思います。次回作を待っていてください。本当にこの小説を読んでくれた方、ありがと
うございます。
ルーキフェル・A・ラズウェル




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